AKIRA BEYOND

American IPA

先日300バッチ目の仕込みを終えて、この度、この特別なビールを無事にリリースすることができました。これもひとえに皆様の日頃のご愛顧のお陰でございます。この場を借りて深く御礼申し上げます。節目のレシピとして、いつもより挑戦的なビールを作りたかったため、思い切って設定したIBUは過去最高の200。多くの人にとって、最大級の苦みとの対面になるかもしれません。上富良野産ホップは、本当にどっさりとこちらも過去最高の量を投入しました。これだけでは終わりません。今回は、さらなるドーピングをお許しください。目標のIBUと、鮮烈なフレーバーを達成するために、ビタリング用途でホップエキストラクト(苦みの元になる樹脂成分を濃縮した製品)と、フレーバーの増強のために濃縮ホップであるクライオのカスケード、モザイク、シムコーの力も借りました。酵母についてもドライに仕上げてくれる発酵の旺盛な菌株を選択していています。Brut IPAほどではありませんが、当社の平均的なIPAの半分以下まで残糖が消費されており、これまでの当社のIPAとは一味違うキレキレのボディに仕上がりました。糖を削ぎ落した軽やかなボディはホップのフレーバーや苦みを一段と際立たせることでしょう。過去最高の200 IBUの値は、少なくとも理論的には地獄のように苦いことが想像できますが、「人間の舌で知覚できるIBUはおよそ150まで」とする研究もあり、実際に試飲した私たちも正直なところ恐れるに足りない印象を持ちましたのでご安心ください。口に含んでみると拍子抜けしてしまうほどにクリーンで、おそらく苦味よりもホップのグレープフルーツ、青リンゴ、パッションフルーツのようなフレーバーが先行することでしょう。これ程までにキレキレのボディのIPAの中では、その爽やかさがより鮮烈にハッキリと感じられます。さて、その後ですが苦みはどうでしょうか。忘れた頃にそれは忍び寄ってきます。それは丁度、油断したころに訪れます。これは丸齧りしたグレープフルーツの苦みによく似ています。フードやチェイサーは念のためご用意しておくことをオススメします。もちろん、個人差はあると思いますが200 IBUは伊達ではありません。200 IBUの苦みは何度もリフレインします。海外の原材料の力も借りながら、いつか私たちが自前の原材料で到達すべきクオリティを先取りし、そこまでの距離感を確認できる良い機会となりました。馬鹿な奴ほど可愛く見えるものです。このビールもまた馬鹿げたスペックですがどうか愛してやってください。

ABV
7.5%
IBU
200