茶番劇

Northern English Brown Ale

茶番劇とは「結末が分かりきっている馬鹿馬鹿しい行ない」を指します。歌舞伎に由来する言葉のようで、下手な役者が手近なものを利用して滑稽な寸劇や簡単な芝居したことに由来するそうです。ネガティブな意味として使われることが多い言葉ではありますが、手近にあるありふれた素材で、人を笑わせたり、聴衆を満足させたりすることがいかに大変だったのか、私たちにはなんとなく分かる気がします。醸造士もIPAほど売れないと分かっていながらも、今回のブラウンエールのようにホップが主役ではない「地味」で「つまらない」と思われがちなビールを仕込み続けています。それは、このスタイルの本当の美味しさに気づいてもらいたいからです。このビールの魅力に気づき、大変気に入ってくれている方たちにも何度だって喜んでもらいたいのです。似たような演目に見えても、毎回少しずつ違って、回を重ねるごとに良くなっていく様をご覧いただき、ブラウンエールというスタイルの面白さを知っていただきたいと願っています。
実はブラウンエールといっても英国と米国でも大きく異なり、米国のブラウンエールはホップがよく効いていたりします。英国のブラウンエールは北部と南部で特徴が違います。今回は北部のブラウンエールにスポットライトを当ててみました。ブラウンエールをよくご存じの方こそ、ドライなフィニッシュと、意外と炭酸が強いことに驚かれるかもしれません。これが北部のブラウンエールの特徴なのですが、それでも勿論ブラウンエールらしく、充分にモルティーで、ナッツやビスケットのような麦芽の豊かな味わいが楽しめます。それなのにこんなにさっぱりとしたのど越し。こんなおいしいスタイルを知らない人がいるなんて本当に嘆かわしいことだと思います。私たちは、いつかブラウンエールが起こす番狂わせを夢見ています。

ABV
4.0
IBU
25