麒麟児

Baltic Porter

忽布古丹醸造の歴史の中で最もハイアルコールのラガーが誕生です。ほとんど漆黒の見た目をしていますが、ハイライトはやや赤みを帯びているため「醤色(ひしおいろ)」と呼ぶのがふさわしいかもしれません。グラスに注ぐと、薄い黄色の泡が重力の抵抗を受けるかのようにゆっくり踊ります。重厚なボディなのにシャープな飲み口、ローストとチョコレートとカラメルの織り合い、そしてハイアルコールなのにラガー、それがバルチックポーター。ポーターと言いながらも、エール酵母ではなく、ラガー酵母で低温発酵させることにより、酵母由来の発酵香を抑えています。それにより、恐ろしいほどシャープな飲み口が実現されました。これは、インペリアルスタウトとの大きな違いと言えるかもしれません。上品なローストの香ばしさと、モルトのリッチで甘いカラメルの香味を愉しみ、余韻にはプラムやベリーのようなフルーティーな酸味、最後は恍惚を覚えるアルコール感が口の中を漂いますが、やはりキレが良い。
他に類をみないほど作るのが難しい、最難度のビアスタイルの一つですが、今回は、入念な検証、準備、万全の環境を整えて、このバルチックポーターに挑みました。狙い通り、美しく、洗練された、醤色のバルチックポーターは長年追い求めた味わいそのものです。発酵香が抑えられていて、ハイアルコール隠しながら、抵抗なく喉を通っていく様は、驚きを伴うことと思います。
麒麟児は、ひとつの完成形として産声をあげましたが、一部は木樽の中でふたたび眠りにつき、次の出番を待ちます。将来は大物になることが期待されていますので、来たる日を楽しみにお待ちください。

ABV
9.0
IBU
55