東京は高円寺の忽布古丹常設店、ビアカフェ萬感様の10周年オリジナルビールのリリースです。オーナーの高橋さんと相談し、両者「ラガー系で、まだ日本で試されていないスタイルのビールをつくりましょう。」と意見が一致。注目したのはイタリアンピルスナー。このスタイル自体は、日本でいくつかのブルワリーが挑戦しましたが、まだまだ銘柄の少ないスタイルです。そのイタリアンピルスナーをおそらく初めてインペリアルにする試みとなりました。このスタイルは、なんと1996年まで歴史をさかのぼります。イタリア北部のマイクロブルワリーから生まれたスタイルで、それはジャーマンスタイルのピルスナーの発酵中にノーブルホップのドライホッピングを行なうというものです。このスタイルを世に出した醸造士は「私は何か新しいことをしていることに気づいていませんでした。」と語ったそうです。彼は、英国のカスクエールのドライホッピング技術とドイツのピルスナーのすっきりとした鮮明な特徴を単純に組み合わせていたと言います。皆さんは「ドライホッピング」と聞いて派手なキャラクターを想像されたかもしれませんが、これは旧世界のドイツホップであるハラタウやスパルトを使用した、高貴で、秩序の整った美しいピルスナーの進化系です。具体的にはミント、ハーバル、フローラルもあり、わずかに柑橘のアンダートン、そしてドライでクリスピーなフィニッシュが楽しめます。このスタイルが誕生してから四半世紀が経つ現代で流行の兆しをみせているのは、もしかすると現在のIPAトレンドに対するカウンターカルチャーに近いものがあるのかもしれません。無論、私たちはIPAも好きですが、どうも流行りに乗り切れない、ホップフォワード過ぎるビールに取り残されたビール愛飲家の救済に、あるいはラガー系ビールの新たな提案となることを願っています。
- ABV
- 6.5
- IBU
- 25