今年もこの季節がやってきました。僕らにとっては、HARVEST BREWが「夏の終わり」であり「秋の報せ」でもあります。ここ上富良野では8月下旬から9月上旬の2週間がホップの収穫期で、私たち忽布古丹醸造の醸造士にとっては特別な2週間となります。ホップという農産物は、その水分量の多さから数日で傷んでしまうため、収穫からただちに乾燥させます。つまり、ホップを生で扱うことができるのは、「年に一度」この時期だけの季節の楽しみなのです。
忽布古丹醸造では、ホップ収穫期間にだけ使用できる「生ホップ」を使って、季節の醍醐味ともいえるHARVEST BREWに「生ホップ100％」で挑んでいます。「使用量」「鮮度」ともに他に類を見ないほど、圧倒的なスケールとスピード感を誇るのが忽布古丹醸造のHARVEST BREWの特徴です。

HARVEST BREWの新参者であるPale Ale。どうしても生ホップらしい瑞々しさを表現するために、青々しく寄り過ぎてしまいバランスを欠いたものになりやすいのがHARVEST BREWの難しいところです。私たちのHarvest Pale Aleは、「バランス」や「調和」を重視しました。通常は生ホップの特徴を、前面に強調することが多いHARVEST BREWですが、私たちはモルトの穀物感や香ばしさをしっかりと効かせることによって生ホップとの釣り合いを図りました。麦芽には最高級と評される英国産のFinest Maris Otterを配合することによって、ビスケットのような豊かな穀物の風味を高めています。生ホップ由来のオレンジやグレープフルーツのような柑橘感との相性は非常によく、お互いが打ち消しあうことなく、麦芽と生ホップのどちらも楽しむことができる設計を達成できたと思います。「豊かな穀物感」と「瑞々しく香る柑橘感」は新鮮さが命です。とにかく新鮮なうちにお楽しみ頂けたら幸いです。