オレンジジュースの色合い、微炭酸な心地よさ、魅惑の高アルコール、炸裂するホップ剥き出しのフレーバー。Kveik酵母を使った実験的なビールの仕込みはこれで一段落を迎えます。こんなにハイアルコールなビールでも2、3日で主発酵を終わらせてしまう旺盛さには、たとえ性質を分かっていたとしても驚くものです。このKveik酵母についての説明はこれまでの銘柄でも度々説明してきましたので、今回は割愛させていただきます。彼らのいくつかの特別な性質が濁り系ビールをつくるのに向いているという仮説が成立したため、麦芽化していないオーツ麦や、小麦、そしてマルトデキストリンを使用するなどして、滑らかなマウスフィールや、ボディ感が残るように設計しました。乳化したようなとろとろの濁りではないものの、タンパク質による美しい濁りが発生しました。過去に類を見ないほど狂った量のホップを使用して、手に入れた鮮烈なフレーバーは、オレンジ、パイナップル、マンゴー、アプリコット、グアバ、バブルガム、ストロベリー、ウッディなど捉えようがありません。濁りの持続性についても、私たちもまだ分からない部分があるため、とにかくフレッシュなうちに飲んで頂きたいと考えています。冷蔵庫で寝かせる類のものではありませんので、この一瞬の飲み頃を逃さないようにしてください。全く隠す気もないほど露出したアルコール感は受け入れるほかないでしょう。それが皆さんのお望みと心得てご用意させて頂きました。その分、恍惚を覚える邪魔をしないように、苦みについては極限まで控えました。押し寄せる大量のホップと、一撃で決めにくるアルコール感に、何人も為す術はありません。
- ABV
- 8.5
- IBU
- 30