今回使った生ホップはなんと150kg!ダントツの過去最高使用量です。通常のIPAで使用するペレットホップの約10倍近い量ということになります。しかも、生ホップ100%のガチンコ勝負!さらに、今回は初めて「WET HOPPING(ウェットホッピング)」というエクストリームな手法を試してみました。どうしても、生ホップのビールを作っているときに、醸造所に漂う生ホップの素晴らしい芳香をビールに閉じ込めて、皆さんにお届けしたいという想いから踏み切った大胆な選択です。国内ではほとんど前例がなく、リスキーで、神経質になるチャレンジでした。WET HOPPINGは、その名の通り、ほとんど完成しているビールに生ホップを漬け込む方法です。生ホップを仕込んだ約1週間後に、再び生ホップを収穫し、直ちに発酵タンクの中に放り込んでいくシーンは、非常に斬新かつユニークで、我々の記憶に強く焼き付くものでした。
率直に言って、生ホップ100%で、且つWET HOPPINGを施して作られたIPAは「強烈」です。作った私たち自身が驚きをもって、信じられないほど青々としたフレーバーを思い知ることになりました。それはまるで口の中でホップが生い茂るような感覚と言えます。また、私たちが皆さんにお届けしたかった生ホップのシトラスのような芳香は、本当はもっともっと素晴らしいものなのですが、今できる全てのオプションは尽くしました。心に残る悔しさは来年のHARVEST にぶつけたいと思います。
このように、生ホップのみで作られたIPAは、必ずしも他のスタンダードなホップで作られたIPAよりも優れているとは限りませんが、ホップが農産物であるということ毎年思い出させてくれます。好き嫌いのハッキリと分かれる味わいかと思いますが、「季節の風物詩」として、楽しんでいただけたら幸いです。