今回は新スタイルの提案です。私たちが愛して止まないESBというビアスタイルは、「Extra Special Bitter」という名前を持ちながら、「全然苦くない」と言われることもしばしばです。しかしながら、設計の間違いなどではなく、そもそもESBはIPAのように極度に苦いものではないのです。ESBというスタイルのポイントを1つあげるとすれば、それは「苦みと甘みのバランス」かもしれません。実際に、多くの素晴らしいESBは苦みのカウンターとして、キャラメルモルトの甘さと、モルトのトーストまたはビスケットのような複雑な特徴が、より苦みを穏やかなものにしています。
今回は、ESBのスタイルを継承しつつ、現代の苦いビールに慣れてしまった私たちのために、このスタイルのもう一段階特徴の強いものを求めて、SSB(Super Special Bitter)というスタイルを生み出しました。そもそも、Bitterというスタイルは段階的であり、低アルコール・低IBU・淡色の①「Ordinary Bitter」から始まり、中程度の②「Special Bitter/Best Bitter」、そして、中程度以上の③「Extra Special Bitter」へとアルコール度数、IBU、色合いなどの特徴が徐々に際立っていきます。私たちが今回、生み出したSSBは、ESBの定義をいくつか飛び越えていきました。「第4のBitter」とも言えます。伝統に敬意を持ちながらも、私たちの新解釈を盛り込んで、上富良野から産まれたこのスタイルは、上富良野産ホップ100%で仕上げています。使い慣れた地元産ホップだからこそ実現できたギリギリの苦味と、バランス感覚だと思っています。少し焦がしてしまった朝食のパンのようなロースト感と、モルトの複雑な甘みから始まり、最後に深煎りのコーヒーのようなしっかりとした苦味でフィニッシュする、そんな哀愁漂う大人味なビターエールを、上富良野からお届けいたします。
- ABV
- 5.5
- IBU
- 55