黄金の方程式

American IPA

醸造においては、多くの場面で「何かを得るには何かを失う」トレードオフというものに直面します。例えば、鮮烈なフレーバーを得るために多くのホップを追加して、同時に渋味・雑味・辛味を引き出してしまう、そんなこともトレードオフの一つです。まさに、ドライホッピングはトレードオフが起こりがちな手法で、まだまだ研究や実験の必要な分野です。私たちや他の多くのブルワリーもその最適解を日ごろ追及していることでしょう。我々、忽布古丹も「らしさ」を見失わず、さらにホップの価値を引き出すために、今では物珍しいものではなくなりましたが、ダブルドライホッピングという手法にチャレンジしました。これは足し算のように単純なものではありません。渋味・雑味・辛味を出さない「引き算の美学」を守ったまま、今引き出せる最大の「Full of Hoppiness」を達成するため、ドライホッピングの温度、抽出方法、量について細心の注意を払いました。将来、育成する可能性もあるアメリカンホップでパイナップルや松脂のキャラクターを持つ品種をシングルで使い、その潜在価値を最大限まで引き出すことを目標としました。結果、よく熟したパイナップルやマンゴーのような甘い果実のジューシー感、そして松脂風のアクセント、最後にクリーンで爽やかな苦味を得られたと思います。また、モルト由来のボディと甘みが、ホップの苦味を緩和させ、ホップフレーバーを下支えしてくれています。モルトとホップの織り成す黄金体験をご堪能ください。

ABV
6.0
IBU
62