５つの異なるキャラクターを持つモルトで作り出したグラスの中の複雑な宇宙は、照明を抑えた室内などで見ると黒く見えますが、照明に透かすとハイライトはややダークブラウンのようにも見えます。色は濃いのですが、焦げたフレーバーが支配的ということではなく、ロースト由来の苦味は意外にもシャイです。一口目からはモルト由来のチョコレートとキャラメルの香りが広がり、続いてホップ由来の「アーシー（土っぽい）」、「グラッシー（草っぽい）」などと表現される大地を感じさせるフレーバーが出迎えてくれます。時折、べリー、シトラス、パインのような果実の華やかさに出くわすのは南国系ホップの仕掛けによるものです。最後はロースト麦芽とホップの両面の苦味が程よくじわっと残り大人のビター感が漂います。ホップの世界の銀河系軍団と呼ぶに相応しい２大スターをドライホッピングに使用し、通常のブラックエールよりはホップの主張を強くしています。重くもたつく味わいになりがちなブラックエールを、IPAさながらの大量のホップで、モダンで洒落っ気のある設計にいたしました。従来の黒ビールに苦手意識を持ってしまい、長らく選択肢の中から外してしまっている方にこそ、黒ビールも「これほどまでに多様性があり自由なんだ」ということをこのビールから発見して頂けたらブルワー冥利に尽きます。