大手ビールメーカー、小規模クラフトブルワリー問わず、日本のビールシーンに数多ある銘柄のほとんど全てが海外産の原材料に依存しています。大麦から麦芽への加工や、ホップのペレット加工は容易に始められるものではなく、大規模な生産、高額な設備投資、専門的な知識とノウハウを必要とします。私たちはローカルに根差したブルワリーでありたいと考える一方で、主要原材料である「麦芽」のほとんどを海外産に依存していることへの後ろめたさや危機感のようなものを感じています。小さな一歩かもしれませんが、昨年から「純国産」の原材料にこだわり、中標津産モルトと上富良野産ホップのみで醸造した【epitta-エピッタ-(アイヌ語で「すべて、全部」を意味する)】という名前のIPAを誕生させました。今年はその2022 ver.のリリースです。海外産の原材料と比べると、特に価格や品質の部分でいくつもの課題を抱えていますが、今まで誰もやってこなかったことに挑戦することへのロマンを感じています。昨年の仕込みから得られた情報や課題に対して、試してみたいリベンジや、オプションを1年間かけて温めてきました。まだまだ課題の残るチャレンジですが、やれる限りのことを試したと思います。具体的には、昨年よりも麦芽とホップの雑味を抑えることができたのではないでしょうか。どんな原材料であっても、その特性を理解し、美味しいビールを作るのが我々の使命です。今年もスパイシーなエッジ、豊かな穀物感、オレンジキュラソーのような柑橘感がTerroir(テロワール:意味「風土、土地の個性」)のごとく主張しています。特に価格や品質などの面で、多くの課題が残るビールの国産原料ですが、私たちがその価値をさらに高めていくことに努め、サプライヤーと持続的な関係性を築き、地域の産業を守り、顔の知っている仲間から授かった愛着のある原材料でビールを醸す喜びを噛み締め続けていきたいと考えています。それこそが本当の意味での「地ビール」であり、「クラフト」であり、地域に根差したビールづくりだと考えます。このビールを通して、「日本では、大麦もホップも育つのにどうして」という疑問をもっと多くの人が持ち、国産原材料の普及に繋がっていくことを願っています。
ORIGINALS
epitta2022
- ABV
- 6.0
- IBU
- 65