木陰のシュバルツ

Schwarz

シュバルツな夜もたまには良いものです。シュバルツは3回目の仕込みですが、実は毎回自信のあるスタイルの1つです。定番になる可能性もあったという裏話があるほど私たちはこのスタイルを気に入っています。今回は、「黒」は苦手という人にこそ試してほしい仕上がりにしました。それは過去のレシピと比較して、最もロースト麦芽の使用比率を低く抑えており、ローストの苦味を最小限に抑えた「飲まさる」黒いラガーだからです。勿論、シュバルツの定義を守ったレシピであり、伝統的なビアスタイルへの敬意を忘れてはいません。グラスを光に透かして見ると、インクのように真っ黒というワケではなく、やや茶色がかった色合いであることが分かります。「色が濃いから、味わいも重たい」というイメージを持っている方は、その先入観を捨てることになるでしょう。ボディはライトでリズミカルに飲みすすめられます。一方で、全体の印象が薄っぺらくなり過ぎないように、甘いフレーバーが特徴のユニークなブレンドホップを使用し味覚の釣り合いをとっています。ハイカカオのビターチョコレート、キャラメルやクリーム風のニュアンスと、浅煎り風のロースト感の折り合いがついていてなんとも仲睦まじい味のバランスです。最後にこんな言葉をご紹介させてください。「木陰に座って涼を愉しむことができるのは、誰かがずっと昔に、その木を植えてくれたからです。(ウォーレン・バフェット)」。時折、この言葉を思い出し、ハッとさせられます。醸造開始から約2年が経ちました。今、ビールをつくることができる環境にあることに感謝し、伝統と革新のバランスを取り、未来に繋がるビールを作り続けていきたいと決意を新たにしました。醸造開始から3年目のとある夏の日。

ABV
5.0
IBU
22