生ホップ仕込み第二弾は皆さんお待ちかねのIPAです。ホップの収穫が行われる8月末から９月初旬の短い間にしか仕込むことができない生ホップを使用したハーヴェスト（収穫・収穫期）ビールであり、この時期だけの醍醐味です。
今回は、実は生ホップ１００％ではありません。それでも約９０％くらいは生ホップです。もちろん、ネガティブな理由ではありません。本当に「美味しい」ものを求めた上での目論見と遊び心がありました。結論から言いますと、私たちにしか試すことができない「和魂洋才」のカスケードIPAを作りました。上富良野産カスケード2019年をビタリング用途に、上富良野産カスケード2020年の新鮮な生ホップを「過去最大量」で煮沸終了時に風味付けとして大胆に投入、そして、最後にIPAとしてはあまり多くない量のアメリカ産カスケードをドライホッピングしています。やはり、生ホップの影響を際立たせるための配合にしています。したがって、同じカスケードという品種ですが3種のカスケードを併用しています。
忽布古丹醸造はいずれ地元のホップ１００％でビールづくりを行っていくという長期ビジョンを掲げています。現状、国産ホップの加工はアメリカなどの先進企業のものと比較すると、規模も技術も後塵を拝しているというのが現実です。ドライホッピングはほとんど完成したビールにホップを投入するため、その品質や加工の技術がビールに大きな影響を与えます。その点、アメリカ産のカスケードは非常にペレット加工の技術も品質も優れているということは受け止めなければならない事実です。いつかはこの品質を手に入れるということが私たちの長期ビジョンに含まれているというのは説明するまでもありません。今は、今と未来、現実と理想の狭間の中でも「美味しい」ものをつくるというのが私たちのミッションです。未来に想いを馳せながら仕込みました。手前味噌ですが、何度もその輝きを見たくなるようなクリアネスと、カスケードの柑橘感に溢れたIPAになりました。