1960年代までは、英国で最も人気のあるマイルドエールでしたが、現在ではクラシックなスタイルとして静かにその地位を保ってきました。かつては、英国の労働者階級が好んで飲んでいたといいます。当時のマイルドエールは長い保管期間を経ずにパブですぐに消費されたため、酸化が抑えられ、ほのかに甘く感じられ「マイルド」であったとされる説があります。労働時間の長い彼らは仕事の合間に数時間の短い「セッション」休憩を割り当てられていて、多くの労働者が地元のパブでその短時間の休憩を過ごしたようです。酔い過ぎず、仕事に支障が出ないマイルドエールは彼らにどれだけ愛されたことでしょう。古き時代に想いを巡らしながら、今回の私たちの作ったマイルドエールは、奇をてらわず、当時のものをリバイバルすることを目指しました。低アルコール、強くない発泡性、ホップの苦味も制御されており、捉えどころのない地味なビールという印象を持たれるかもしれませんが、モルトのほのかな甘みとナッツのような後味が心地よく、非常にバランスが取れていています。例えるなら、洋楽でよくみられる一貫したコードワークで、起伏が少なく、最後まで心地の良いメロディが続く曲のように、心拍数の変わらぬまま杯を進められるビールとも言えましょう。惰性のようにダラダラと飲み、物思いに耽られるそんな時間というのは、今も昔も、忙しない日々を生きる私たち大人にとって大事な時間です。コーヒー、お茶、タバコ休憩のような一服感を楽しんでください。
先日リリースのSSBとハーフ&ハーフで飲む「Two-Threads」という飲み方も工場スタッフの試飲の中から生まれた美味しい飲み方です。ご自宅やビアバーで是非お試しください。
- ABV
- 3.5
- IBU
- 20