創世記のNew Engalnad IPAのようにほとんどクリアな外観となり、色んな意味で天邪鬼なビールになりました。鬼伝説のヘッドブルワー柴田さんをお招きに、忽布古丹醸造としては初めてのコラボレーション仕込みとなったNew England IPA。濁るか濁らないかギリギリのところを攻めてしまった結果、ヘイジーとは言い難い、輝かしい仕上がりになりました。それでも、製法や原材料は完全にNew England IPAのものを取り込み、規格外のホップ使用量で、アロマやフレーバーは爆発しています。
言い訳がましいかもしれませんが、New England IPAの創世記を支えた代表的な銘柄「Heady Topper」を世に出したアルケミストのジョン・キミッヒ氏は「ヘイズ(濁り)は決して意図したものではありませんでした。これは、私が望むフレーバーを実現する方法の副産物でした。」と語っています。
昨今、過度に濁った、さらに辛味などを伴うHAZY IPAが見受けられますが、そういった犠牲や痛みを伴うビールは私たちの引き算の美学に反します。また、私たちが目指したのは酵母などが浮遊した不純な濁りではなく、タンパク質とポリフェノールが結合した、沈殿することのない「永遠の濁り(我々は永久ヘイズと呼びます)」でした。永遠の濁りは瓶や樽底には沈むことはありません。その永遠の濁りはホップのフレーバーを保持し、皆さんに更なる鮮烈な香りや味わいを感じさせます。よって、今回のホップフレーバーには、幾分満足はしているものの、永遠の濁りを形成できていれば、さらに鮮烈で衝撃の走る味わいを皆さんに魅せられたのではないかと心残りはあります。
今回、鬼伝説から頂いたアドバイスやメソッド、そして得られたデータや知見をもとに、「永遠の濁り」への挑戦・リベンジはまだまだ続きます。すでにラガーでは永遠の濁りを形成することに成功していますので、スイートスポットが見つかるのは時間の問題だと思っています。今宵は、天邪鬼なブルワー達が作った天邪鬼なNew England IPAをお愉しみください!