料理人は料理で、画家は絵で表現するように、私たちブルワーはビールを通して、自分たちを表現するのだと思います。
今回、私たちがご紹介するビールはNew England IPAとWest Coast IPAを掛け合わせたAmerican IPA。忽布古丹醸造では今年から濁り系のジューシーなIPAにも挑戦しており、今まで培った経験を基に、夏に飲みたいドライな設計でありながらも、テイストはジューシーな IPAを作りました。
New England IPAには通常10-20%のオーツ麦が使用され、とろみやホップのアロマをビールに多くとどめておく手法がとられます。今回は、「West Coast IPAのドライさも残す+ホップのアロマを最大限引き出す」ために数パーセントだけオーツ麦を加えました。ホップの構成も複雑で、煮沸時にアロマが多く残る品種、ドライホップでトロピカルとグレープフルーツのキャラクターが特徴的な品種を数種類ブレンドし、DDH(ダブルドライホップ)しました。パイナップルやパッションフルーツのようなトロピカルフレーバーと、オレンジ系の柑橘香を感じていただけると思います。ジューシーなIPAとオールドスクールなIPAのいいとこどりを目指した今回のビールは、何回も杯を重ねてもらえると、ブルワー冥利につきます。
ピルスナーのようなシンプルなデイリーなビールも正義ですが、ホップのアロマが複雑に交じり合った芸術的なビールを作ることも、私たちブルワーの宿命なのかもしれません。まるで絵具にように幾重にも塗り重ねられたホップの彩りをお楽しみください。
- ABV
- 7.0
- IBU
- 68