代表が苦手とする禁断のヴァイツェンは、代表の居ぬ間に仕込んでしまいました。ということで忽布古丹醸造では初めてのヴァイツェンです。初手から少し実験的な試みを行っています。それは、かの有名なドイツのビール純粋令(「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」と定めるドイツの法律)の下では、出会うことが許されなかった糖類を副原料として、2種類使用しています。糖と言っても、もちろん甘さを足したり、コストを抑えたりするためではありません。糖には様々な種類があり、その麦汁中の糖の組成の違いは、発酵や味わいに大きな影響を与えます。現代の醸造らしく、糖類の添加による麦汁の組成の操作をおこない、発酵による芳香を高めるテクニックを使いました。グラスに注ぐと、狙い通りの発酵香が立ち昇り、クローブのようにスパイシーな表情と、バナナやリンゴのような華やかな芳香と、ややドライな口当たりを楽しめます。通常のヴァイツェンよりもドライですが、物足りなさはなく、ホップのキャラクターも「らしさ」を損なわない程度に主張的な印象です。さらに、このビールは通常のヴァイツェンと比較すると、やや高めのアルコール度数に設計されています。胸を熱くするようなアルコール感は、憚ることなくむきだしで、ドライに喉を駆け抜けて落ちていきます。由緒正しくあるべきスタイルかもしれませんが、掟を破って糖と引き合わせたり、アルコールを高くしたり、ホップもふんだんに使っていたりと、垢抜けたヴァイツェンにしてみたかったのです。禁じられることほど、やりたくなってしまうものではないでしょうか。飲みすぎ厳禁です。
- ABV
- 6.5
- IBU
- 16