オレンジピールもコリアンダーも使わない、和製Belgian Witを作ってみました。これまで何度もBelgian Witを作ってきたこのスタイルに捻りを加えるために「オレンジピールの代わりに柚子皮を使って和製なBelgian Witを作りませんか」と、弊社の醸造長が社長に提案しました。社長の返答は「もうひと捻り」。たしかに、柚子を使ったホワイトエールは国内でも多く作られているため、ありきたりと言えばありきたりかもしれません。そこで「さらにコリアンダーの代わりに和山椒でいかがでしょうか」と再度提案したところ、方向性が一致し、今回の和製Belgian Witのレシピが完成しました。実は、柚子と山椒の組み合わせのビールもまた、真新しいアイデアではないのですが、私たちがこれまでに飲んできたこのカテゴリーのビールの和テイストは、やや奥ゆかしすぎる印象を持っていました。そのため、今回のレシピでは名前が示す通り、探しに行かずとも押し寄せてくるような「柚子感」を存分に楽しめるように、余すことなく柚子の成分を引き出すことに注力しました。麦汁と一緒に柚子皮を煮込んでしまうと、柚子のフレッシュな香りが揮発して飛んでしまうため、滅菌済みの柚子皮と和山椒は、ドライホッピングの要領で発酵中の麦汁と合わせることにしました。充分に浸け込む期間を設けたことで、柚子の香りが強く溶け込んだと思います。和山椒は高価ですが、フレッシュで色味の良いものを生で使用しました。フレーバーへの貢献度はそこまで大きなものではありませんが、炭酸と一緒にピリッとくる舌への刺激は心地よく、味覚のほか、触覚まで楽しめるビールとなりました。強めの発泡性と、ドライなのど越し、柚子とその良き相棒である山椒に由来する爽やかな和の柑橘香が馨しく、とてもカジュアルなジャパニーズスタイルのホワイトエールとなりました。
- ABV
- 5.5
- IBU
- 10