こんなにクリアネスな液体の内側に何を秘めているというのか。多くの醸造士がこのホップの魅力に気づいていますが、モザイクやシトラなどのホップと比べると、まだ一般的には知られてはいない存在と言えます。私たちはこのホップを代替不可能なフレーバー強度を持つホップとして位置付けています。そのホップの名は、「Vic Secret(ヴィクシークレット)」。オーストラリア産のホップなのですが、よりトロピカルな「Galaxy(ギャラクシー)」というホップの方がどちらかと言えば知名度があります。それでも、私たちは前者の方を気に入っています。パイナップル、パイニー(樹脂っぽい)、グレープフルーツ、やや森林のようなボタニカルなフレーバーも含まれていて、このホップだけでビールを充分に面白くできるパワーを持っています。また、フレーバー強度が強いにもかかわらず、使いすぎて雑味が多いなんてことも気にならない優秀なホップです。出来ることなら、誰にも教えたくないホップの一つです。実は、これまで作ってきた限定ビールの数々の中で、多くのIPAに使用してきましたが、意外にもシングルで使用したことはありませんでした。Session IPAはアルコール度数も通常のIPAと比べて低く、モルトの設計もシンプルであるため、ホップのキャラクターを「丸裸」にするにはうってつけのビアスタイルです。私たちのSession IPAと言えば、シングルホップで仕込むことがほとんどですが、使用した感想としては、やっぱり誰にも教えたくないほどの魅力を持っていました。シングルホップとは思えない複雑さと、パンチのあるビター感、強いパイナップルのフレーバーが押し寄せたと思えば、フィニッシュは儚いくらい潔く去っていきます。あらためて、Vic Secretというオーストラリア産ホップの潜在能力を見せつけられました。ぜひ大きなサイズのグラスで、勢いよく流し込んでください。
- ABV
- 4.5
- IBU
- 40