SSB(Super Special Bitter)はスタイルガイドラインには存在しない第4のBitterです。現代の苦いビールに慣れてしまった私たちはESB(Extra Special Bitter)をそれほど苦いものとは思わなくなっています。忽布古丹醸造はESBのスタイルを継承しつつ、このスタイルをもう一段階強めたSSBというスタイルをオリジナルのスタイルとして生み出しました。また、過去にリリースした【Kamifu SSBitter-SSB(Super Special Bitter)-】のReboot(再起動)作品でもあります。
今回は、2021年産の上富良野カスケードホップをシングルで使用しています。シングルホップが単調と考えている醸造士もおりますが、概ねシングルホップという事前情報のバイアスがかかっているのではないでしょうか。同じ品種のホップでも、投入するタイミングを変えることで、ホップが熱に接触する時間に差が生まれるものです。故に、熱に接触する時間の差異は、揮発成分にも差が生じるということです。その結果、単一品種のホップであっても複雑性を生み出すことが可能なのです。特に、ヨーロピアンラガーなどではしばしば行われている手法です。私たちも、2021年産上富良野産カスケードの別の表情を魅せて欲しかったため、今回のビールのホップ投入は4回にも分けて行っております。ビターな表情、マンダリンのような表情、カラメルと相まって煮詰めた樹液のような表情、オレンジのような酸味のある表情など、数多くのキャラクターが見え隠れします。さらに、このビールは温度変化を楽しむこともできれば、炭酸の抜け感すら楽しめるビールです。緩めの炭酸、焙煎モルトの複雑な香ばしさ、少し高めのアルコールの恍惚さと、単一ホップが魅せるカメレオン俳優ばりの様々な表情をお楽しみください。