HOP KOTAN ORIGINALS+(プラス)第4弾にして、2回目の異酒コラボレーションビールは、上川地域を中心とした北海道産の酒造好適米と、大雪山系の天然水で仕込む “飲まさる酒”づくりで知られる上川大雪酒造「緑丘蔵」とのコラボレーションです(「飲まさる」は、北海道弁で「つい飲んでしまう」という意味)。コラボレーション以前からも、お互いのお酒を飲み交わす機会が幾度もあり、また「飲まさる酒づくり」という同じ価値観を持つ私たちにとっては、今回のコラボレーションはごく自然な流れで進行していきました。上川大雪酒造の純米大吟醸から生まれた酒粕は華やかな香りがまだ多く残っています。これを何とかビールに取り込みたいと考えて、2種類のビールとマッチアップさせることになりました。
【mosir-モシリ–】は、忽布古丹醸造のオーナーブルワー堤野が熱望したスタウトとのマッチアップです。「mosir(モシリ)」はアイヌ語で「大地」を意味します。焙煎度の高い3種類の麦芽で複雑なローストフレーバーをベースにしつつも、ボディの設計はあえて軽くすることで、ドリンカビリティの高いスタウトと酒粕を合わせました。ビール酵母由来の香りを高めるために、高温短時間発酵を選択しています。つまり、焙煎香、発酵香、吟醸香の3つ香りが混ざり合うドリンカブルで淡麗なスタウトと言えます。仕込みにおいては、インペリアルピルスナー同様、酒粕の粘りに大変苦戦してしまい、麦汁の移送工程では創業以来最長の時間を費やしてしまいました。通常は1時間程度で終了するタンクへの麦汁移送は8時間を要してしまい、麦汁移送が終わった頃には日付が変わっておりました。スタウトと言えば、重厚な味わいのものが多いビアスタイルですが、天邪鬼な私たちはあえての「淡麗辛口」なスタウトを選択しました。見た目とは裏腹に、口当たりはスッキリとしていて、奥ゆかしい吟醸香が鼻を抜けていきます。欲を言えば、もっともっと吟醸香を閉じ込めたかったスタウトですが、食事にも合わせられるようなバランスの取れた仕上がりになったのではないでしょうか。今年の仕込みを踏まえて、すでに発案している有効なアイデアを引っ提げて来年のブラッシュアップに挑みたいと思います。