我儘坊主

American Double IPA

約半年ぶりのDouble IPAの登場です。発酵と熟成に通常の倍近くを要してしまったマイペースな私たちの息子は、我儘でリッチなミドルボディを有しており、甘やかな麦芽の風味は、片足をまるでバーレイワインの領域に踏み込んでいるかのようです。クリーンな苦みとシトラスダンクなフレーバーが特徴のColumbus(コロンバス)ホップは通常、ビールの苦み付けに使用されることが多いのですが、私たちは今回ドライホッピングにも使用することで裏技的なアクセントをこのDouble IPAに付与しました。このホップをドライホッピングしたことにより、甘めのモルトフレーバーを緩衝する苦みや渋さのようなものを取り込むことができました。これは入れすぎてもビールのバランスが崩れてしまい、少なすぎても効果がほとんど分からない無駄骨になってしまう可能性があるため、リスクの伴うチャレンジでした。成功か失敗かは皆さんにジャッジして頂きたいものです。メインで使用したホップは、忽ち世界最高クラスのホップに仲間入りを果たしたStrata(ストラタ)ホップです。登場当初はストロベリー系のフレーバーが目立っていましたが、最新のパッケージのものはピーチ感が強いように感じられました。甘やかして、伸び伸びと発酵・熟成させてしまったのは、親である私たちブルワーの至らなさと言えます。独り立ちしてもらうのに多くの時間を要しましたが、最後は9.0%のアルコールにも耐えて、なんとか発酵を終えてくれました。結局、助けられたのは私たちの方だったのかもしれません。ビール醸造の、そして酵母の寛容な側面に助けられたかたちとなりました。オレンジ、松、ピーチ、ストロベリーのような幾つものフレーバーが、やんちゃなハイアルコールとともに身体に沁み入るDouble IPAとなりました。

ABV
9.0
IBU
72