ここ上富良野では9月末にホップの収穫が終わり、今年はいつもより早く岩手県の軽米町に収穫ホップを持って行き、ホップのペレット加工を済ませてくることができました。今年のHARVEST BREWはスケジュールやタンクの空き状況などから2種類しか仕込めなかったのが心残りで、その鬱憤を晴らすべく、「スピンオフ」と言うほどではありませんが、「サイドストーリー」とも呼ぶべき、ある意味この時期だけのフレッシュな素材の上富良野産ホップ100%のIPAを作りました。通常、収穫したホップは乾燥処理後、ホップ加工センターに持ち込み、全量ペレットにしてしまいますが、今回は一部のみ乾燥ホップのまま保管しておりました。通常は半年もすると傷んでしまう乾燥ホップをフレッシュなままに今回のIPAに投入しました。生ホップともまた違う、柑橘類のようなフレーバーの輪郭がハッキリとしたような特徴があります。また、良い意味で予定外に早く手元に届いた2022年産の上富良野産カスケードホップのペレットはこのIPAへのドライホッピングを可能にしました。今年の上富良野産カスケードの特徴は、オレンジ、コリアンダー、タバコの葉のような個性の強さを持っています。ドライホッピングを行なうには心配もありましたが、しっかりと役割を果たしてくれたと思います。昨今の流行りのトロピカルなIPAではありませんが、しっかりキレキレのドライで、柑橘や樹脂のようなフレーバーが際立つ、硬派で時代に媚びない仕上がりです。年産、形式でホップの種類を分けると、延べ4種の上富良野産カスケードを使用したことになります。品種としてはシングルホップですが、通常のシングルホップでは醸しだせない複雑な味わいが醸成されたと思います。こんな遊びができてしまうのが忽布古丹醸造の特権であり、この土地でビールを醸す醍醐味なのかもしれません。私たちがIPAを好きになったあの頃(10年くらい前)の味がするようで、少しノスタルジックな気分にさせてくれるAmerican IPA。
- ABV
- 6.5
- IBU
- 65