「Baltic Porter(バルチックポーター)」は、エール酵母で発酵させる「Imperial Stout(インペリアル・スタウト)」をラガー酵母に置き換えたものと説明するのが最も簡易的です。同じハイアルコールの漆黒系のビールでも「Baltic Porterはラガー酵母を使用するため低温でクリーン」に、「Imperial Stoutはエール酵母を使用するため高温でフルーティー」な仕上がりになる、というのがこれまでの常識でした。ところが、今回使用した「NOVA LAGER」という新しいラガー酵母がこれまでの常識を覆してしまいました。NOVA LAGERは高温で発酵させても、クリーンな味わいを実現させてしまう酵母の新星です。この新星の誕生により、両者は対局的関係性だったにもかかわらず、温度帯において並行的関係性へと変化しました。また、Baltic Porterを作る際の「低温」かつ「麦汁濃度が高い」という条件は酵母にとってストレスの多いものです。それ故、醸造技術的にも難易度が高いビアスタイルでしたが、この酵母の誕生により多くの醸造所がチャレンジしやすいビールになったのではないでしょうか。ビアバーや酒屋で見かけることが少ないニッチなビアスタイルですが、今後はこうした新しい酵母の誕生により、Baltic Porterという宇宙がより身近な存在になることでしょう。今回のBaltic Porterのアルコール度数は、定義上の最も低い数値に設定しています。重力を下げることで初めての方にも試しやすいカジュアルなBaltic Porterに仕上げました。ハイカカオチョコレートのようなビターな香ばしさと、仄かな甘味、そして、クリーンでシャープな味わいが特徴の漆黒のハイアルコールラガーは、多くの方にとって初めての経験となるはずです。この魅力を知るきっかけが私たちのBaltic Porterだったとしたら喜ばしい限りです。
- ABV
- 7.5
- IBU
- 40