頭の中で思い描いているレシピの中には、実現がすぐに叶わないものもあります。障壁となるものは技術的だったり、科学的だったり、経済的だったりと様々です。今回のビールについてもいくつかのイノベーションにより、ようやく実現することのできたIPLでもあります。今回のIPLは、革新的な酵母である「NOVA LAGER」、約2倍の樹脂成分とオイルが詰まった濃縮ホップペレットの「CGX」、ホップの香りの元となるテルペンをホップから抽出したホップエキスの「Abstrax Tech」、これら3つの革新的な原材料を用いて、先進的なチャレンジを行いました。使用したホップは、ビタリング以外では「Nelson Sauvin」を単一で使用しています。同一品種で、通常のペレットT-90、CGX、Abstrax Techの3形態を使い分けています。これまでIPLを作る上で大きな課題であった「Hop Creep(ホップ・クリープ)」という現象は、ジアセチルというバター臭を呈するオフフレーバーが問題となります。メカニズムについての詳しい説明は長くなってしまうため、割愛しますがこの話題は避けては通れません。その原因となるホップの植物性部分が新しいホップ加工品の開発により大幅に削減されたことは、今までの課題を過去の存在にしてしまう可能性を秘めています。また、オフフレーバーの可能性を軽減しながらも、エールと変わらない温度帯でラガーのようにクリーンな発酵を可能にしたNOVA LAGERは、ドライホッピングにおいてもエールと同じ温度帯でおこなうことができたため、フレーバー強度についてはIPAと遜色のないレベルを達成できました。Nelson Sauvinの白ブドウやグーズベリーのような爽やかな果実味はIPLのように澄んだビアスタイルでより際立ちます。高濃度のNelson Sauvinを存在限界まで詰め込めるだけ詰め込んで誕生した極限のIPLです。
- ABV
- 7.0
- IBU
- 70