南洋幻想

Oceanian IPA

私たちはIPAを作るときに、毎回のようにテーマや制約を自らに課すことによって、原材料やビアスタイルの限界を引き出すことに挑戦しています。今回は、これまでも何度か試してきた「南半球ホップ」に着目したIPAを作ることにしました。南半球のホップと言うと、「オーストラリア産」と「ニュージーランド産」を指すのが一般的です。それぞれの国を代表するスターホップはそれぞれオーストラリア産「Galaxy(ギャラクシー)」と、ニュージーランド産「Nelson Sauvin(ネルソンソーヴィン)」です。前者は、ホップ品種の中でも特にオイル分が多く、柑橘、桃、パッションフルーツなどのフレーバーが強いとされている人気の品種です。後者は、ニュージーランド産ホップの不動の最高峰で、白ワインのようなユニークなフレーバーを呈する唯一無二の品種です。IPAと言えば、少し前までは鮮烈なアメリカンホップを使うのが当たり前でしたが、今では南半球のホップだけで素晴らしいIPAが作れるほど、鮮烈なホップたちが次々と台頭し始めています。日本ではこれほどまでに世界のビールシーンで評価されている固有品種が少ないため、南半球の2カ国に対しては羨望の気持ちを強く抱いています。外観はややヘイジーで、パッションフルーツ、桃、グレープフルーツ、白ブドウ、グラッシーなどの複雑なホップのフレーバーが連鎖して味覚と嗅覚に迫ってきます。過度ではないけど、程よいビター感が味を引き締めます。口当たりは滑らかですが、設計はドライなので、ゴクゴクと杯が進んでいくことでしょう。アメリカ産ホップとはやや異なる新世界の味わいを体験してみてください。

ABV
6.0
IBU
60