今回のビアスタイルは忽布古丹醸造が名付けたオリジナルのビアスタイルです。
DipでDryなIndia Pale Lager?一体どんなビールでしょうか。
ホップがビールに特有の苦味と香りをつける大切な役割を果たす存在であることを知っている方は多いと思います。でもビールの仕込み工程で、ホップがどのように使用されるのかを知っている方は意外と少ないかもしれません。ここで醸造の話をすると長くなるので難しい説明は割愛しますが、仕込みでホップを使用するタイミングは何度もあります。大きく分けると、仕込み釜の熱い麦汁にホップを添加するHot Side Hopping、麦汁を冷却してから主に発酵タンクに添加するCold Side Hopping、この2つに分かれます。前者は苦味と香り付け、後者には香り付けの効果があります。Cold Side Hoppingで代表的なのが、皆さんご存じのDry Hoppingです。
今回のビールをつくるうえでフォーカスしたのが、アロマ目的で使用されることが少ないホップ(=主にビタリングで使用)をシングルホップで使用し、その苦味と香りの特徴を最大限に引き出すこと。
そのために取り入れた製法がDry Hoppingに加え「Dip Hopping」。これはCold Sideで添加するホップで、爽やかでクリーンな香りを生成し、樹脂や松脂のような青っぽい香りを抑制する効果があるとされています。
忽布古丹は地元産ホップ以外のホップ品種については、使用したホップを意図的に公開しないことが多いのですが、このビールに限っては使用したホップを積極的にお伝えする必要があります。
今回のビールで使用したホップはColumbus(コロンバス)。
特徴としては、スパイシー、アーシー(土っぽい)、コショウ、柑橘などに例えられることが多いですが、個人的感想としては柑橘香はあまり感じません。ダンクと表現されるような、土っぽさや煙っぽいキャラクターが特徴的なホップだと思います。
かつては柑橘系のアロマが一世を風靡し、トロピカルなアロマが人気を博す現代において、「コロンバス」を「Dip Hopping」で醸したこのビールは、皆さんにどのような印象を与えるのでしょうか。
新たな苦み、新たな香りで、クラフトビールの沼にはまっていただけると嬉しく思います。
良薬は口に苦し。
よく効く薬は苦くて飲みにくい。
他人からの忠告は聞くのが辛いが、それは自分のためになる。という意味を含んでいますが、このビールを飲みながらであれば、他人の忠告も辛くないかも?
よく効く薬は苦いけど飲みやすい!?
※今回のビールは札幌の「Cider&Beer KALAHANA」さんの14周年記念ビールとして、オーナー大輔のリクエストに応えるかたちでつくらせていただきました。
カラハナ14周年おめでとう!