久しぶりに上富良野町産ホップ100%でIPAを作りました。今回のIPAは今年獲れたばかりの2023年産の上富良野町産ホップの封切りでもありました。私たちがメインで使用しているカスケードという品種は柑橘のフレーバーをベースにしつつ、フローラルだったり、ライムやレモンっぽさが強くなったりと、毎年表情が少しずつ変わるところが面白くも、難しさであったりします。ホップという原材料は農産物であり、自然の恵みでもあるということを改めて認識させられます。その誤差や違いを見極めて、最適な使い方を選択するのが私たち醸造士の役目です。このIPAには2023年産のカスケードと、2023年産のHKB001という忽布古丹醸造独自の交配種を使用しました。試してみた結果としては、2023年のホップのキャラクターは例年には見られないキャラクターが備わっていました。カスケードは緑茶などの青さと苦さが垣間見え、HKB001はタバコのような渋めの雰囲気を漂わせていることを発見しました。IPAを仕上げるには想定していなかった意外なキャラクターを理解した後は軌道修正をする必要がありました。少量だけ残していた2023産の上富良野町産カスケードのリーフホップをドライホッピングすることにしました。やはりリーフホップでも緑茶らしいフレーバーを持っていましたが、なんとか柑橘側のスペックに修正をすることはできました。理論上は100 IBUですが官能的には100は感じられないバランスの取れた味わいです。パンチのあるIPAを想像すると物足りないかもしれませんが、私たちの定番の【nonno-ノンノ-(Pale Ale)】の延長線上にあるかのような存在となりました。オレンジ、フローラル、松っぽさのアフターノートは、タバコや緑茶のスモーク感やビターで、大人の雰囲気漂うフレーバーに包まれます。今年のホップは、時代とは逆行するかのような渋くてダンディなフレーバーかもしれませんが、多種多様な私たちのビールづくりに更なる変化をもたらしてくれそうな魅惑のフレーバーと捉えています。今後もご期待ください。
- ABV
- 7.0
- IBU
- 100