以前は HORT4337 というコードネームで育種されていたネクタロンは、ネルソンソーヴィンが20年の植物品種権 (PVR)が切れるタイミングで発売されたニュージーランド産ホップの期待の新品種です。2020年に一般公開されましたが、発売当初は日本国内で流通することはほとんどなく、手に入るようになったのはここ最近のことです。米国のブルワーズ・アソシエーション(BA)は、2021年にNew Zealand Style Pale AleとNew Zealand Style India Pale Aleをビアスタイルガイドラインに追加しました。私たちの目には、このビアスタイルの確立とネクタロンの登場が、ニュージーランド産ホップの世界的な価値を決定づけた瞬間のようにも見えました。ネクタロンは、強いパッションフルーツやグレープフルーツのような味わいと強いダンク感が楽しめると銘打たれて登場してきましたが、その誇大とも思えるような宣伝文句の真偽と、私たちは今回このホップのキャラクターを丸裸にして確かめるためにNew Zealand Style Pale Aleでチャレンジすることにしました。包み隠さない結果をお知らせすると、私たちの「過度な期待」をもう一歩超えられず、大量のネクタロンに対して、気持ちばかりのネルソンソーヴィンの力を借りて、このペールエールを完成させました。ただの実験台ではなく、皆さんに納得していただけるであろうフレーバー強度にまで押し上げました。ホップが農産物であり、年度、場所、収穫タイミングなどにより、同じ品種でも全く異なる味わいを示すことがあることを私たちは深く理解しています。つまり、この1度の試作だけでこのホップを評価するのは時期尚早かと思います。ベテランの一押しは必要だったものの、このペールエールの強いダンク感の大半を占めているのはネクタロンであることは間違いありません。いずれ、私たちをもっと驚かせてくれるロットにも出会えることでしょう。ネクタロン最盛時代はもうすぐそこまで来ているかもしれません。
- ABV
- 6.0
- IBU
- 32