癖の強いホップの代表格に君臨する「Sabro（サブロ）」をメインに使ったAmerican Black Aleをつくりました。「Cascadian Dark」「India Black Ale」「Black IPA」などのように、私たちはこのビアスタイルに類似する数ある呼び名についてどれが正しいのかを議論するつもりはありません。それよりも、この未成熟のビアスタイルをより美味しく、面白くすることに興味がありました。忽布古丹醸造では、2年くらい前からアメリカンホップのSabroを使い始めました。ライチやココナッツそして、杉のような独特なフレーバーに魅せられて、様々なビールに試してきました。Black Aleにはチョコレートモルトや、ローストモルトなどと呼ばれる焙燥度の高い麦芽を使用します。その香ばしい味わいに負けない個性を、すべてのホップが持ち合わせているわけではありません。以前にオーストラリア産「Galaxy（ギャラクシー）」ホップを使って仕込んだ【宇宙遊泳-American Black Ale-】がご好評を頂いたため、それ以降、その高くなったハードルを越えるために突出した存在をずっと探していました。それがSabroでした。やはり狙った通り、その独特で、強度のあるフレーバーが香ばしいモルトの味わいに負けることなく、杉やココナッツのフレーバーがローストの味わいと見事に整合性を取ってくれています。また、黒系のビールは「重たい」イメージから、苦手意識を持つ人が少なくないため、そのイメージを払拭するために軽めのボディに設計をしたのですが、それに手を貸してくれるようにライチの爽やかなフレーバーが効いています。今回はナチュラルカーボネーションという発酵由来の炭酸のみでじっくりと発泡性を付与しました。クリーミーできめ細かい泡が立ち上がると思います。忽布古丹醸造のAmerican Black Aleに期待を寄せてくださっていた皆様、大変お待たせいたしました。今回のAmerican Black Aleも気に入って頂けたら嬉しいです。