馬鹿正直

Kölsch

ケルシュは地理的表示が保護されている世界でも数少ないビアスタイルの1つです。1948年、ケルンの醸造所は、スタイル、地域、醸造プロセスを定めたガイドラインを確立しました。これらは1986年のKölsch Konvention(ケルシュ条約)で正式化され、ケルシュとその周辺で醸造されたビールのみがケルシュと呼ばれることが規定されました。1997年には、保護原産地呼称(PGI)がEU全体で採用されています。この保護はEUの管轄外では認められておらず、EU外の多くの醸造所は、信頼性の程度が異なる「ケルシュスタイル」または「ケルシュ」としてビールを製造および販売しています。こうした正統なるスタイルに挑む際は、消費者への誤解を招かないように、その伝統や製法を正しく理解し、可能な限りガイドラインに沿った再現を行なうべきだと考えています。その意味では、今回のビールは細部までケルシュの再現にこだわっています。ケルシュを仕込むためだけにドイツで栽培されているノーブルホップのテトナング産テトナンガーを仕入れました。また、ケルシュの独特の製法であるエール酵母を使った低温発酵を踏襲して、菌株の耐性温度を下回る14℃の低温で発酵を行ない、ラガー発酵の温度で長期熟成させました。低温での発酵は、オフフレーバーを多く残すリスクがあるため、ケルシュと名乗りつつも発酵温度がそこまで低くないケースも散見されます。そんな中、馬鹿正直に正々堂々、低温で挑みました。ケルシュは、誤魔化しの効かない裸のスタイルです。ホップを入れたり、副原料を入れたりして、着飾りたくなる気持ちも分かりますが、市場には意外にも、「馬鹿正直なケルシュ」が少ないと感じたので、このスタイルの素っぴんの姿を露わにしてみました。パリッと、スッキリとした飲み口と、レモンや青リンゴのような爽やかな余韻、そして控えめな苦みはもはや不可抗力。次から次へと口に運んでしまうような軽快なジャーマンエールをお楽しみください。

ABV
5.0
IBU
23