Hop Breeding Company(HBC)の育種プログラムによって開発された高アルファ酸ホップ品種「HBC 431」は、まだ正式な名前が付いていないにもかかわらず、主役や独演を任せられるほどの強いピーチのようなトロピカル感を持った魅力的なホップ品種です。ここ最近、私たちのジューシーペールエールをつくる際は、主役を張ることができるような突出したホップを(ビタリング以外)シングルホップで試すことが楽しみの1つとなっています。今回、HBC 431を大抜擢した理由は、他のビールで試したときに、ことごとく他のホップのフレーバーを搔き消すくらい強いピーチフレーバーの主張があったためです。実際に、ペレットホップの匂いを嗅いだだけで、多くのブルワリースタッフがすぐに「桃みたい」と言うくらいハッキリとピーチ感の強いのがこのホップの最大の特徴です。むしろ、この特徴一点に全振りしていると言っても過言ではありません。IPAのレシピに匹敵するほどのホップの使用量でありながら、辛かったり、暴れたりしているような雑なフレーバーではなく、桃を搾ってソーダで割ったような仄かな甘さと爽快感を併せ持っています。低めのIBU設定にしましたが、ピーチの甘やかなフレーバーを邪魔しないための設計だったため、この選択は間違いなく正解だったと考えております。控えめに使ったオーツがかすかなとろみをもたらし、桃の果汁のような口当たりで喉をスルスルと通り抜けていきます。小麦麦芽とオーツ麦でジューシー感を表現しましたが、残糖をそこまで多く残していないため甘ったるくなく、ドライに飲み進めることができます。ホップの変幻自在ぶりにはいつも驚かされるばかりです。早く名前を付けてやりたいほどの良いホップを皆さんも体験してみてください。
- ABV
- 6.5
- IBU
- 25