御法度

Weizenbock

小麦を使用した白ビールは中世のバイエルン州で非常に人気がありました。しかし15世紀には、戦争と不作により小麦が不足してしまう事態に陥ったという記録があります。パンはビールよりも重要だったため、ビールへの小麦の使用を禁止するビール純粋令(ラインハイツゲボット)が制定されました。小麦のビールが再び人気になったのは 20 世紀後半になってからのことです。小麦を自由に、制限なくビールに使用できる時代に生まれた現代の醸造士は恵まれているのかもしれませんね。今回は麦芽重量のうち50%以上の小麦麦芽とスペルト小麦麦芽をふんだんに使用したWeizenbock(ヴァイツェンボック)をつくりました。この伝統的な南ドイツのビアスタイルは「Weizen(ヴァイツェン)」と「Doppelbock(ドッペルボック)」の融合を果たした上面発酵のビアスタイルです。酵母の豊かな発酵の風味が特徴的で、特にバナナの香りが強く漂いながらフルボディの飲み心地で、濁った外観の液体の上には、きめの細かいこんもりとした泡が立ち上がります。このビアスタイルは淡色のものから濃色のものまでありますが、今回は程よく焦がした麦芽を配合し、キャラメルのような色合いに設計しました。焼きバナナ、香ばしいキャラメル、リンゴのような酸味と甘みが楽しめるリッチなテイストに仕上がったと思います。典型的な麦芽とホップの選択、古くから伝わる特殊な製造工程で仕込んでいますが、いくつかの戒律を破りました。1つめはアメリカンホップを使用して、発酵由来の豊かなフレーバーにブーストをかけていること、2つめは忽布古丹醸造ではそもそもWeizen系のビールをつくらないこと自体が「暗黙の了解」であり「ご法度」だったということです。なので、このビールは次にいつ作ることができるのかは醸造士の私たちにも分かりません。忽布古丹醸造では物珍しいWeizenbockを飲み逃しなく。

ABV
8.0
IBU
18