白夜

Golden Stout

奇妙でニッチな新しいビアスタイル「Golden Stout(ゴールデン・スタウト)」をご紹介します。Stout(スタウト)と言えば、焙煎麦芽あるいは大麦を使用した濃色から漆黒の上面発酵ビールです。Stoutには様々な派生のビアスタイルがあるのですが、遂に黒くないものが誕生してしまいました。それが、Golden Stoutです。何年か前に、色合いは淡いままに、Stoutの味がするGolden Stoutなるものが現れたと聞いた時は懐疑的な印象を抱いたことを覚えています。実際に口にする機会を得てからは少しずつ理解が進んでいきました。なぜStoutが黒ではなく、金色か琥珀色になる必要があるのか問われると、私たち自身も明確な答えは用意できていません。このビアスタイルは理屈ではなく、好奇心から生まれたものだと推察しています。色合いは黒くないのに、Stoutの味わいがするものを飲んだ人が、そのギャップに驚く顔が見たかったのでしょう。また、黒くすることなく、Stoutの味わいを再現するにはテクニックやアイデアが必要になります。ブルワーの中にはこのビアスタイルで腕試しをしてみたくなる気持ちも分かります。ある種、「手品」のようなビールでもあります。チョコレートやコーヒーの風味を再現するために、多くの場合でカカオニブ、コーヒー、バニラを加えるようです。言うまでもなく、色に影響を与えることなく香ばしい風味と香りを得るためです。私たちの捻りは、奥深さのためにオークチップというウイスキー樽の木片を麦汁で煮出したことと、カカオニブ(実)の代わりにカカオハスク(殻)を利用することでチョコレートのフレーバーを取り込みつつも、甘味のカウンターとなる苦みをホップだけではなくカカオハスクからも取り込んだ設計です。実際に色合いは黒くありませんがチョコレート、コーヒー、バニラの香ばしくも甘い味わいに頭が混乱してしまいそうになります。賛否は分かれることでしょう。社内でも賛否が分かれました。前例の少ないビアスタイルに開拓者の精神で挑んだ銘柄となりました。

ABV
7.0
IBU
26