これまで理想のものを求めて様々なヘイジーなラガーを繰り返し作ってきましたが、今回はやや不安定な濁りであるため、文字通り濁りがストリップしてしまったら申し訳ございません。もちろん、そういう意味で名付けたわけではなく、ホップから鮮烈なフレーバーを“剥ぎ取る”ラガーを目指してつけた名前です。これまでのヘイジーラガーと差別化を図るために、残糖があまり残らない糖化工程を組んで、ラガーらしくドライでクリーンな特徴をなくさないようにしました。それでいて、剥き出しのホップ感が押し寄せるという欲張りなヘイジーラガーを思い描きました。残糖が少なくなり、ボディが軽くなる分、濁りも弱くなってしまうのは想定していた通りであり、何かを得るには何かを失うトレードオフとして受け入れる必要がありました。トロピカルで、ココナッツのようなユニークなキャラクターが人気の、比較的新しい品種のホップを試してみました。真新しいオークのようなニュアンスも感じられて、面白いフレーバーとアクセントにこのホップへの興味が深まりました。今回特に注意したのは「辛味」です。ホップを投入しすぎると、あるいは漬け込みすぎると、ホップのポリフェノールがビールに溶け込みすぎて、大根やワサビにも似た痛烈な辛さが際立ってしまうことがあります。今回は、低温で短時間接触のドライホッピングに徹して、荒さを引き出すことなく、クリーンなフレーバーだけを抽出できたのではないかと思います。ラガーらしく、ドライに、クリーンに、スピーディーに喉を過ぎ去った後は、ホップの残像が口内と鼻腔に残ることでしょう。このビールもまた、新鮮さが命のビールです。賞味期限内であっても可能な限りお早めにお召し上がりください。
- ABV
- 5.5
- IBU
- 30