ここのところワインなどの他業種から醸造文化を取り込む機会が多かったため、ビールの垣根を超える自由なインスピレーションやレシピが思い浮かびました。その熱量のままに短時間で書き上げたレシピを携えて醸したのがこのビールです。聞き慣れないビアスタイルかと思いますが、アメリカンベルゴスタイルエールは伝統的なベルギースタイルのビールよりも、アメリカンホップが強く効いたモダンなベルジャンスタイルエールです。アメリカンホップのフレーバーと、ベルジャン酵母由来のバナナ、ベリー、リンゴなどの芳香の相乗効果により、より強くフルーティーな味わいを楽しめるのがこのビアスタイルの特徴だと解釈しています。また、アルコール度数やIBU(苦み指数)などの定義上の縛りなどもなく、自由な裁量や余白があるのがこのビアスタイルの魅力の一つと言っても過言ではありません。高温発酵用に設計されたベルジャン酵母を用いましたが、白ワインの発酵温度にならい20℃を上限に抑制的な発酵管理を行ないました。低温により発酵期間が通常よりも長くなることは経済的にネックとなるものですが、それと引き換えにフレッシュでクリアな味わいを達成することができたと思います。味わいからは、8.0%のアルコール度数は感じられないことでしょう。シャンパンのようなビールになることを想像して設計したため、極度にドライなボディ、そして強めの発泡性となっています。また、ボリュームのあるドライホッピングでIPAに匹敵する柑橘やマスカットのようなフルーツのフレーバーを取り込みました。「Belgian IPA」あるいは、ホッピーな「Saison」あるいは、「シャンパン」風のビール、いか様にも感じられるものを解き放ちました。
- ABV
- 8.0
- IBU
- 40