行雲流水

Nordic IPA

「行雲流水」という言葉は「空をゆく雲と流れる水のごとく、ただ自然の成り行きに身を任せるさま」を意味します。つまり、簡単な言葉にすると「なるようになる」という意味になります。このビールは本来、Hazy Lagerになるはずでした。飛びぬけたホップのフレーバーと、ラガーの飲みやすさを両立するために、苦みを極端に抑えたレシピで麦汁を作っていました。仕込みも終盤に差し掛かったところ、とあるトラブルが発覚し、ラガー酵母が使用できない状況になってしまいました。お臍が曲がるところでしたが、せっかく手間暇かけて仕込んだ麦汁を前に、この状況をポジティブに捉えてみたいという気持ちが湧いてきました。そして、その時に閃いた代替手段がKveik酵母の使用でした。私たちはこの酵母の2つの意味を知っています。1つ目は、「Kveik」という言葉自体がノルウェーの方言で「酵母」を表しているということと、そして2つ目は「何かに新しい命を吹き込む」というロマンチックな意味です。私たちは魂の行方が分からなくなってしまったこの麦汁に、Kveik酵母を投入し、文字通り新しい命を吹き込むことにしました。麦汁は極端なほどの上富良野産カスケードが投入されていて、オーツ麦とホップ由来の白濁とした濁りと、フレッシュな柑橘類の香りを持っていました。Kveik酵母が濁りを維持したまま、たった数日で終わらせてしまう高温短時間発酵に急かされるように、発酵の終了前に1回目のStrata(ストラタ)ホップを投入しました。発酵終了直前には2回目のStrataホップの投入を行ないました。Strataはストロベリーや桃のようなトロピカルなフレーバーを持っています。Kveikの発酵特性もかすかにトロピカルであることからこの関係は結ばれるべくして結ばれたのかもしれません。普段は論理的に科学的にビールづくりを行なう忽布古丹醸造ですが、今回は直感と感性が色濃く表現されたヘイジースタイルのビールとなりました。

ABV
7.0
IBU
12