ベルギーのビールづくりは自由で縛りがなく、特に副原料については多種多様な素材が使用されます。糖類やハーブなどの副原料は多くのビールで使用されていて、ベルギービールと副原料は切っても切り離せない関係と言えます。しかし、こうしたビールは日本の法律が定める「ビール」の分類に含まれないことも多々あり、「発泡酒」扱いとなってしまうこともあります。もちろん「節税目的の発泡酒」とは一線を画し、こだわりの詰まった“ビール”であるということに変わりはありません。Abbey(アビイ)酵母を使用した今回のビールは、同じベルジャン系のSaison(セゾン)酵母と比較すると、スパイシーな癖が少なく、親しみやすいフローラルな印象の方が強く残ることでしょう。苦手な方が一定数いるベルジャン系と言っても一括りにはできません。掛け合わせ次第で、宇宙のごとく終わりの見えない無限の広がりを見せてくれるのがベルギービールの面白さです。このビールがきっかけで、ベルジャン系のビアスタイルの再評価に繋がればこの上なく嬉しいことです。ブロンドとは言いながらも、ややアンバーに片足を入れている色合いの要因は、副原料の黒糖と、麦汁の長い煮込み時間に由来するのかもしれません。もちろんネガティブではなく、黒糖のミネラルと香ばしく甘い味わいをビールに取り込みたかったからです。Abbey酵母由来のフローラルな芳香、そしてホップやコリアンダーの効果がフローラルなフレーバーを後押しし、より複雑に仕上げます。甘くてフローラルなフレーバーに相反して、飲み心地は甘ったるくなく、むしろドライに飲み込んでいけるのだから油断は禁物です。ブロンドエールといいながら、ベルジャンブロンドの場合はアルコール度数が少し高いのも注意点です。冷たいうちはドライに気持ちよく、温度が上がればフローラルが花開く、温度によっても様々な表情を魅せてくれるベルジャンブロンドエールです。
- ABV
- 6.5%
- IBU
- 28