ジャーマンスタイルのラガーであるHelles(へレス)を醸造するブルワリーは近年、増加傾向にあるのではないでしょうか。それは、Hellesがホップの効きすぎたビールに疲れた人々のオアシスになっているのかもしれないという仮説はこれまでにも説明してきました。実際に、HellesはNew England IPAやWest Coast IPAなどのホップが強く効いたビールの対極に位置する存在です。Hellesにおけるホップの役割はごく控えめで、麦芽の風味や旨味を楽しむビールです。このビールの仕込みではしばしばデコクションという手法が採用されて、その効果であるメラノイジンという旨味物質が多く生成されるため、コクのあるHellesが作られます。残念ながら忽布古丹醸造では設備上それを行なうことが難しい。しかしながら、現代ではメラノイジンが多く含まれる麦芽をモルトメーカーが提供してくれているため、デコクションを行うことが難しいブルワリーでも、麦芽の旨味が強いHellesを作ることができます。今回、私たちはベースのピルスナーモルトの他に3種類の旨味の強い淡色麦芽でこのビールに奥行きを作りました。Hellesはドイツ語で「淡い」という意味です。それ故、色合いを濃くしすぎることなく、味わい深いHellesを作ることにこだわりました。実際に、テイストの中で如実に感じられるアミノ酸とメラノイジンの旨味。ただし、旨味が強すぎても喉越しや、ドリンカビリティに影響があるところが難しいポイントです。これを解決するために、通常よりもドライな設計に調整することで、「旨味やコクは存分」に、且つ「爽やかな飲み心地」を両立することができました。これまでも多くのHellesを作ってきた私たちですが、現代的な麦芽加工製品を駆使して、より私たち好みのHellesを完成させました。
- ABV
- 5.0
- IBU
- 22