北海道の第2都市である旭川市の常設店「HUG」のオリジナルビールを作りました。今回は、周年ビールというわけではなく、醸造責任者の鈴木栄が会社を離れる前に是非もう一度「栄君にビールを作ってもらいたい」と同じ年のオーナー金内さんからのご依頼いただきこのビールを作るに至りました。「せっかくやるなら普段、忽布古丹醸造がやらないようなビアスタイルで」ということだったので、ふたりで話し合った結果、忽布古丹醸造ではあまり作ることがない禁断の「Hefeweizen」に挑むことになりました。忽布古丹醸造では【駆け落ち-Hefeweizen-】以来の2回目のチャレンジです。ヴァイツェンと言えば、小麦や小麦麦芽を麦芽重量のうち約半分を占めるほど大量に使ったドイツ発祥のエールビールです。白ビールと呼ばれるものの1つでもあります。ヴァイツェンのキャラクターにはクローブのようにスパイシーなもの、バナナのようにフルーティーなもの、あるいはどちらのバランスも取れたものなどがありますが、今回のオーダーは「バナナ感」を強めたものでした。そのオーダーに叶うキャラクターを引き出すために、2005年にミュンヘン工科大のMarkus Herrmann(マルクス・ハーマン)によって発表されたヴァイツェンの特殊な醸造方法を採用しました。詳細についての説明は長くなってしまうため割愛しますが、バナナのフレーバーのもとになる酢酸イソアミルという酵母の発酵由来の芳香成分を大量に生成させるための特殊過ぎる醸造方法です。その他にも使用可能なオプションはすべて行使して、バナナ感を強めることに徹しました。その結果、フレーバーは狙い通りバナナに偏ったヴァイツェンになりました。熟したバナナの甘い香りが漂います。濁った見た目に反して、味わいは非常にクリアで透き通っています。グラスに注げば、こんもりときめの細かい泡が立ち上がることでしょう。ビールの名前はHUGオーナーの金内さんが「昔ながらの」「伝統的な」「由緒ある」などの意味を持つ言葉をこのビールに授けてくれました。伝統的な手法を採用しながらも、カジュアルで親しみやすいヴァイツェンになったと思います。白身魚を使った揚げ物やヴァイスヴルストなどのお食事と一緒にお楽しみください。
- ABV
- 5.5
- IBU
- 12