今回のCold IPAでフィーチャーしたのは、「Dank(ダンク)」 と呼ばれる香り。草や松脂を思わせるアロマ、さらにはアメリカでは”ある植物”のような香りとも表現される、独特の個性を持つホップの香りです。クラフトビール好きにはお馴染みで、わたしも大好きなこの香りが特徴的なホップを数種類MIXし、たっぷりと使用しました。
Cold IPA は通常、米やコーングリッツなどの副原料を使用して醸造されるビアスタイルです。これはボディを軽くして、モルトの存在を減らすことで、よりホップの味や香りを強調する目的があります。ただ、今回は一切の副原料を使わず、薄いカラーの麦芽だけを100%使用して仕込みました。今回の主役のダンクなフレーバーには、過度に薄いボディだと合わないと思ったためです。いずれにせよ、主役はホップ。その香りと味わいをクリーンに楽しむための透明感を意識して、ボディは極力ライトにしながらも、つぶれない程度のバランスをとりました。
グラスに鼻を近づけると、グラッシーな香りとグレープフルーツのような柑橘のニュアンスが広がり、奥にほんのりとトロピカルフルーツの気配が漂います。
口に含めば、ダンクなフレーバーがしっかりとあふれてきます。その奥には、桃やパッションフルーツのようなトロピカルな果実感が見え隠れし、さらに飲み進めていくと心地よいスパイシーさと、グラッシーなフィニッシュ。Cold IPAらしいしっかりとした苦みが駆け抜けていきます。ホップの個性を存分に活かすために、不必要なものを削ぎ落としたミニマルな設計。ダンクな香りも、グラッシーな余韻も、ホップの輝きがきらきらと透きとおって見えるようです。
- ABV
- 6.5
- IBU
- 60