同じHelles(へレス)の麦汁を2つのタンクに分けて、別々の酵母で発酵させた【Twin Paladox(ツイン・パラドックス)】はこちらが兄です。兄の方は小さなタンクを使用して醸造したため、製品化の量が極めて少なく、限定品として一部の店舗でのみお取り扱い頂いております。忽布古丹醸造では、YOTEI BREWINGから譲り受けた350Lの小型タンクを使って、最近は面白い使い方を日々模索しています。兄の方は革新的なラガー酵母「LalBrew NovaLager」を使用しています。リンゴのような果実の風味と、高速発酵や高い発酵特性など、ラガービール製造に理想的な特性を備えたラガー株です。ビアスタイルに向き不向きはある気がしますが、使い方にも慣れてきたため今ではお気に入りの酵母の1つとなりました。Hellesは麦芽が主役のビールであるため、モルトの味わいを楽しんでもらうために、もろみ(麦汁をろ過する前のお湯と麦芽を混合した状態のもの)の一部を煮沸して、麦芽のコクを引き出す「デコクション」という製造方法を用いました。ホップにはTettnanger(テトナンガー)というノーブルホップを使用して、控えめなホップの風味を効かせました。シンプルでありながらも、物足りないということはなく、ドライでありながらも、風味は豊かな仕上がりになったのではないでしょうか。NovaLagerらしい、ふんわりとリンゴのような果実感が控えめに感じられます。無濾過ながら研ぎ澄まされた外観はグラスの奥が見えるほど透き通っています。ごまかしの利かない難しいビアスタイルでしたが、NovaLagerを制御しつつ、欲しかったフレーバーだけを引き出せたのではないかと思います。