同じHelles(へレス)の同じ麦汁を2つのタンクに分けて、別々の酵母で発酵させた【Twin Paladox(ツイン・パラドックス)】はこちらが弟です。異なる酵母で醸造した兄もいます。弟の方は伝統的なラガーをつくるために用いられるラガー酵母「SafLager W-34/70」を使用しています。この酵母は世界最古の醸造所であるバイエルン州立ヴァイエンシュテファン醸造所(1040年ー)に由来する有名な株です。「花の香りとフルーティな香りのバランスの取れたビールの醸造を可能にし、クリーンな風味と飲みやすい味わいをもたらす」とされています。実際に私たちも重宝している酵母株であり、この酵母には強い信頼を寄せています。もちろん今回のHelles(へレス)を作るのに最適な酵母でもあります。今回仕込んだHellesは麦芽が主役のビールであるため、モルトの味わいを楽しんでもらうために、もろみ(麦汁をろ過する前のお湯と麦芽を混合した状態のもの)の一部を煮沸して、麦芽のコクを引き出す「デコクション」という製造方法を用いました。ホップにはTettnanger(テトナンガー)というノーブルホップを使用して、控えめなホップの風味を効かせました。シンプルでありながらも、物足りないということはなく、ドライでありながらも、風味は豊かな仕上がりになったのではないでしょうか。無濾過ながら研ぎ澄まされた外観はグラスの奥が見えるほど透き通っています。ごまかしの利かない難しいビアスタイルですが、これまで忽布古丹醸造で培ったノウハウで丁寧な発酵管理を行いました。見た目も、味わいもクリアネスで、オフフレーバーを完全に排除したクリーンなラガーになったと思います。
- ABV
- 5.5
- IBU
- 22