ビールの世界の表現で、「ドライ」という言葉があります。感覚としてはみなさんおわかりだと思いますが、実際に何をもって「ドライ」というのでしょうか。
これ、醸造の世界では「残糖が少ない」という意味になります。
お酒は、酵母が糖分をアルコールと二酸化炭素に分解するはたらきを利用してつくられます。しかし、酵母は全ての糖分を無尽蔵に分解し続けられるわけではありません。発酵が完了したあとにも、一部の糖分はビールのなかに残ります。これを残糖といいます。
ビールに残る糖分の量は、その酵母の種類や、もとになる麦汁の状態など様々な要因で上下します。醸造士はこの要因を変化させて、自分の求める最終的な糖度になるよう調整するわけです。
忽布古丹醸造はドライなビールが大好きなので、いつもはこの残糖が少なくなるように調整をします。ですが、今回はその逆に挑戦しました。いつもより多めに残糖を残して、通常のIPAよりすこし苦みも、アルコール度数も優しいIPAをつくりました。ビアスタイルに足した「Easy」は気楽に、リラックスして飲んでほしいという気持ちを表しています。
また、HBC630、Strata、Azaccaなど、合計8種類もの異なる品種のホップを使用したことも大きなポイントです。そこまで多いとまとまりが無くなりそうですが、甘い果実のフレーバーをもつホップで統一したことで、単調になりがちな甘い香りに複雑さをもたらすことができました。
最後にこのビール、発酵期間がとても長くかかりました。ゆっくりのんびり、長い時間をかけて発酵するビールの様子はなんだか、うとうとと、まどろんでいるようでした。作っている側としては、正直もう少し急いでほしいところですが、人もビールも、たまにはそんなこともありますよね。
過程も、仕上がりもリラックスしている、EasyなIPAをどうぞ。
- ABV
- 6.0
- IBU
- 48