柚子塩騒動

Belgian Wit w/ Yuzu & Salt

通常はオレンジピールとコリアンダーを使った小麦のビールであるBelgian Wit(ベルジャンウィット)ですが、忽布古丹醸造ではこれまで様々な柑橘やスパイスを使って、このビアスタイルを自由な発想と遊び心でアレンジしてきました。今回は「柚子」×「塩」です。一見、成功が約束された組み合わせのように感じられるかもしれません。ところが、現実はそう簡単ではないのです。それぞれの副原料の「種類」、「量」、「投入のタイミング」、「浸けこみ時間」、「回数」などの変数と、その組み合わせが無限の如く存在する中で、「美味しい」と思ってもらえる領域に味わいを落とし込むことは「二階から目薬」を差すに等しいと考えています。特に、今回は「塩」の匙加減には最も注意を払いました。当然、入れすぎるとビールがしょっぱくなってしまい設計が壊れてしまいます。かと言って、塩味が感じられないくらいの消極的な使い方はしたくはありませんでした。食塩を投入できるタイミングはたったの2回。2回目のチャレンジで納得のいく着地ができたと思います。この緊張感は以後あまり経験したくないものです。醸造秘話はさておき、仕上がりは想像していた通りに、柚子の爽やかな柑橘感と、ドライでスパイシーなセゾン酵母の芳香の相性が良いことに安堵しました。飲み口はすこぶる爽やかで、柚子の皮と、その果汁由来の特有の柑橘感が気持ちよく香ります。私たちはたぶんDNAレベルでこの香りが好きなんでしょうね。しっかりと効いた塩味により、柚子の香りはより一層増幅してくれました。残暑が厳しく寝苦しい夜が続いていますが、水分と塩分の摂取をお忘れなく、また熱中症にご注意のうえ、気持ちよくビールをお楽しみください。

ABV
5.0
IBU
15