Zipangu

American Pale Ale

お気に入りのホップの1つに「El Dorado(エルドラド)」という品種のアメリカンホップがあります。このホップが持つ印象を説明するならば「パイン飴」や「杏子」みたいです。これは、El Doradoを使ったビールをいくつも飲んだり、作ってきたりした経験による感想であるため、人によっては違う印象があるかもしれません。実際に、このホップには様々な表情がある点が面白いと思っています。例えば、パイナップル、マンゴー、アプリコットなどの強いトロピカルフルーツに加えて、柑橘系、花、または土、そして洋ナシやスイカまで様々な説明を見つけることができます。本当はもっと多くの記述を把握していますが、これ以上の情報量は混乱を招くと思いますので、この辺にしておきます。ご興味のある方は是非調べてみてください。今回はこのEl Doradoホップをシングルで使用したペールエールを仕込むことにしました。これだけたくさんの表情を持っていると、ビールの味わいが単調になる心配が少ないため、安心してシングルホップで起用することができます。El Doradoのトロピカルなフレーバーは甘味の知覚を高める効果があると推察しているため、甘みとのバランスを取るためにボディは軽めに、苦みはハッキリめに設計しました。口に運ぶとEl Doradoによる複雑なトロピカル感と、柑橘のニュアンスと、ややアーシーと呼ばれる土っぽさ、しかもちょっと湿った森林のような青さと濡れた土を想像します。最後には心地良く飲める程度の上品な苦みがじわっと広がっていきます。クラフトビールを結構前から飲み慣れている人には、雰囲気として「10年くらい前のペールエールってこんな感じだったよね」って感想が共感してもらえるのではないでしょうか。El Doradoは「黄金郷」を意味しますが、外観は光の当たり方によって、文字通りゴールドからブロンズの中間的な色合いに見えることでしょう。低温でゴクゴク飲んでも、少し温度があがって味わい深く飲んでも、どちらでも美味しい飲み方ができるペールエールになったと思います。

ABV
5.0
IBU
35