ORIGINALS plus

hure 2023

HOP KOTAN ORIGINALS +(オリジナルズプラス)第11弾は、昨年に続き2回目の【hure-フーレ-(赤)】と【retar-レタラ-(白)】です。赤と白、それぞれのワイン用葡萄品種の搾り粕を再利用して、ビールに浸け込むことでその味わいを取り込んだ特別なGrape Sour Ale 2種をリリースしました。アイヌ語で赤を意味する【hure-フーレ-】は、いつもお世話になっている中富良野のワイナリー Domaine Raison(ドメーヌ・レゾン)の赤ワインの醸造過程で出てくる「Zweigeltrebe(ツヴァイゲルトレーベ)」の搾り粕を再利用して「Grape Sour Ale」を作りました。
ツヴァイゲルトレーベは、赤ワイン用葡萄品種です。この品種はブラックベリー、チェリーのようなベリー系の風味が豊かで、柔らかなタンニンと独特の香りが特徴です。昨年のこの銘柄では「Pinot Noir(ピノ・ノワール)」の搾り粕を使い、オレンジから薄ピンクの色合いになりましたが、今年はガーネットの宝石のように濃い色合いが抽出されました。完成されたビールは、フルボディのワイン、貴腐ワイン、ポートワインいずれも甘めのスイートワインのような甘みと、それを感じさせないように効いている乳酸の酸味が口の中で混乱をもたらし、飲み進めていくうちに次第に和解していくことでしょう。
忽布古丹醸造を退社し、FLORA FERMENTATION(フローラファーメンテーション)を立ち上げた元社員の大西康平(在籍時はセカンドブルワー)がDomaine Raisonとのダブルワークで築いてくれた関係性は、今もアシスタントブルワーの沓澤草祐が引き継ぎ、今回の葡萄品種の選定にも関わりました。
今回は野生酵母を使用せず、乳酸を多く産生する特殊でユニークな酵母を使って主発酵を終えた後、別のエール酵母を追加して、ツヴァイゲルトレーベの果皮と種子と共に発酵させる赤ワインの醸造方法「マセラシオン」という手法を採用。2種類の酵母の混合発酵により爽やかな酸味と複雑で豊かな発酵フレーバーを表現しました。野生酵母を使わずに、複雑な味わいを、より再現性の高い方法で達成できたと考えています。
「美味しい」を大前提に、結果として「アップサイクル」や「地元原材料の有効活用」に繋がれば、私たちがこの地でビール醸していくことがより「歓び」のあるものへと成熟していくのではないかと考えています。これからも、地域の「こだわり」のヒトモノコトを取り込んで魅力的なビールを作り続けていきたいと思います。

ABV
7.5
IBU
10